in my desk
もちろんのこと、あたしも28歳立派な社会人。昼間は一般企業の会社員をしているわけで、もっぱら机に向かったまんまのデスクワークではあるが、これがまた好きで選んだ会社とはいえストレスの宝庫と言っても過言ではないくらい日々イライラを募らせながらも働いている。そんなこと人間、食うため、生きてゆくために必要な金銭を稼ぐうえでは免れられないことであり若干の我慢と忍耐は必要とされるのが事実ではあるが、やっぱりほんのりとでも“癒し”がほしかったりもするわけで。
ある日、コンビニへ昼食を買いに行ったとき発見したのが「サボテンストラップ」。全長わずか5mm程度の小さなボディで生意気にもしっかりトゲが生えている青々としたサボテンが小さな容器に入れられてストラップとして売り出されていた。
買うしかない!
完全にひとめぼれ購入をしたそのサボテン。説明書には「月に2回水をやると成長します」。あたしは事務所へ戻るなりさっそく水を与えてみた。今まで見たことのないミニサイズの子サボテンに心ときめかせながら、かわいくてかわいくて、あたしは自分のデスクの上へ飾り毎日それを眺めストレスから少し解放されつつあった。
しかしどういったわけか、何ヶ月が経過しようといっこうにこのサボテンは生長しないのだ。きちんと説明通りの回数の水やりをしているのに、容器からも出し、別のものに入れてみようとも半年以上の月日が流れようというのにまったく購入当初の出で立ちのまま相も変わらずかわいらしさ健在なのである。
そりゃああたしはこいつの「小さくてかわいいのに勇ましくもトゲがある」このギャップ感に魅力を感じて買ったことには違いない。でも、それなりの年月いっしょに過ごし共に成長してゆくのが、例え植物とはいえ生き物であるサボテンとの生活上での醍醐味ではないか!そう思い、“癒し”目的で買ったはずのサボテンに半ば苛立ちすら感じてしまい、いつしかそれを小箱にしまい引き出しの中へと追いやった。
それから何ヶ月が経ったころか、ふとサボテンのようすが気になった。引き出しの中にしまいこんでからというもの、一切水も与えず、状況観察さえもしていなかった。もしかして死んでしまっているのではないだろうか?たった数百円で安易な気持ちで買ってきたあのサボテンが、あたしのちょっとした我が儘で死んでしまわせるのはあまりにもひどすぎる。少し自分を責めやる思いで小箱を開けると、な、なんと
伸びているではないですか!!
たったの5mmしかなかったはずが、いつの間にか1cmをゆうに越えている!水も何もない状態で、誰も相手にしてくれない机の中という薄暗い何とも陰気で孤独なこの場所で、立派に成長を遂げていた彼が何だかとてつもなく愛おしくてどうしようもなく感じていたが、よくよく考えるとこいつ
「俺のことなんてほっといてくれ!」と
言わんばかりのこの態度。なんだか憎たらしい部分も垣間見られる雰囲気だが、今では干渉しない程度にまたしても小箱に入れた状態で机の中に住まわせてときどき水を与えてようすを見る。そんな事務所生活を満喫しています。はやく大きくならないかしら。
ライター:美裡紫