モントリオール若葉マーク(9)愛は人生だ

Love-Is-Lifeカクタスという地元バンドの「愛は人生だ」という歌を始めて聞いた時、私はツボをくすぐられて大笑いしてしまった。ケベック人のお兄さんが、“愛はいいね、愛は最高。”とおセンチな日本語の歌詞を愉快に歌うから、私は彼らもウケを狙っていると思っていて、ヒンシュクを買ったものだ。メンバー達は実は皆真面目でとても暖かい人達である。

ある朝出がけに彼らのCDをかけてみたら、聞きなれた声が流れてきた瞬間、当時久々の1人暮らしだった私の住居が、家族か友達と同居している様な家庭的な雰囲気になってびっくりした。が、「愛は人生だ」が始まると、やっぱり朝から1人で思いっ切り笑った。私は愛を信じないひねくれた大人になったわけではない。この歌だけは赤面してしまうほどこそばゆいのだ。

モントリオールで1人で自活するようになって、しみじみと気づいた事がある。私は過去に長年過ごした日本でもカルガリーでも、とても恵まれていたという事だ。私には不得意な事が本当にたくさんあるが、周りの家族や仲間がちゃんと助けてくれていたから、自分のできる事をこなしていればよかった。最近写真を自分で撮らなくてはいけなくなって、半泣きで悪戦苦闘しながら、今まで専門外の事は全て人任せで、どんなに楽をしてきたのかを実感した。これからもかなり泣きながら、自分でできる事が少し増えるだろう。というより、しなければ日常生活が成り立たない。

こんな私をさりげなく助けていてくれていた人達1人1人に感謝したい。私は愛されていたのだ。勿論家族や友達は遠く離れても愛し続けてくれる。私は貰った愛の半返しさえしてないし、愛を物やお金には変えられない。だからここに「アイ・ラヴ・ユー!」と言葉で書いてみる。

愛に限らず、「言葉で表現する事」はずっと私の不得意な事のひとつだった。モントリオールに来てから、愛も怒りもその場ですぐに表すケベック人達と接しているうちに、私も感情を言葉にする事が少しは上達したのかもしれない。カクタスの春真っ最中の愛の歌が始まると、今では赤面しないで清々しく一緒に歌っている。愛は人生だ!

ライター:An Kanata

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