モントリオール若葉マーク(3)ゲイの道

2週間と2日住んだウィークリーアパートは、メトロの BerriUQAM 駅のすぐ近くで、回りに何でもあってとても便利だった。結局テレビはまだ映らないままの日曜日の午後、映画でも見ようとしたら、近所の映画館では英語の映画までフランス語吹き替えになっているという。じゃあ今夜はアパートで、インターネットで何か見ながらカウチポテト(ぐーたら)しようと、ビール&食料の調達に行く事にした。Ste. キャサリン通りを西にはもう何度も歩いたが、東にはまだ行った事がないので、そっちでスーパーでもさがそうと歩き始める。

さっそく、一人の男の人がメトロスーパーの買物袋を持っているのを発見。まっすぐ行けばスーパーがありそうと、通りに並んだ小売店や飲食店達を物色しながら東に進む。前を男の人が2人、手をつないで歩いている。モントリオールでは、日中堂々と男同士で手もつないじゃうんだ、と思っただけで、私の目は道沿いのお店達に戻る。

赤信号で立ち止まり前を向くと、今度は男同士がキスをしている。「ウイル&グレイス」という昔よく見ていたアメリカのテレビ番組で、男同士のキスシーンをカットしてしまったテレビ局に、ゲイのジャックが抗議する、というエピソードがあった。まーあれは10年くらい前のエピソードだったし、でも番組の舞台であるニューヨークよりモントリオールの方が開けてるかも、、などと何となく思いを巡らし、再び歩き始めた私の目は、また立ち並ぶ店達へ。

あれっ、なんか変だ。コーヒーショップのお客さん達は、みんな男同士のカップルだ。今度はちゃんと意識して前を見ると、通りは男のカップルだらけだった。道の向こう側の小さな公園のベンチは男性カップルで埋まっているし、バーのお客さんも男性達だけだ。なんか不思議にみえたが、みんな楽しそうにイチャイチャしている。私はいつのまにか、ゲイの道を歩いていたのだった。そういえばショウクラブのポスターも、半分裸の女ではなくて、胸をはだけた男だった。これまで気づかずに歩いていた私のほうが変だと、人は笑うだろう。

回りを物色しながら歩いていたからか、ゲイの道は長いなーと、スーパーを諦めて引き返そうとした時、メトロスーパーのサインが交差点の向こう側に見えた。メトロのPapineau駅もある。

スーパーでも多くのゲイの男達がおかずを選んでいたが、その光景は別に不思議でなかった。モントリオールに限らずカナダでは、男性が普通にスーパーで買い物する。それに、ここまでゲイの道を歩いてきたので、もう私の目も心も慣れていた。このスーパーの中にはストレートの女性客も割といて、ゲイの道はここら辺で終わりだろうなと思った。

買い物したあと、また歩いて戻る。通りに群がる男達は、誰も私をチラッと見ることさえしない。ストレートの女である私は、安全さと自由を感じて、この道が気に入った。

ライター:An Kanata

Comments are closed.